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コンテナ物語

読了。この本は、ビル・ゲイツの「2013年に読んだ記憶に残る7冊の本」として紹介されているうちの1冊です。

コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった

コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった

 

 コンテナの導入によって、今まで労働集約産業だった港湾の荷役業務が機械化・オートメーション化され、物流の効率性が飛躍的に向上されました。この本ではその経緯についてまとめられている本です。

 

コンテナ出現前は、船で運んだ荷物は港湾で荷役労働者によりバラされ、中身を検品され、それぞれの目的地に従って積み直す、という事が行われていたようです。当然時間がかかりますし、従業員のモラルの問題で荷物の盗難なども日常的に行われていたようです。

統一規格の箱、コンテナによる運搬が行われるようになってから、コンテナを港で開けることなくそのままトラックや貨物列車に積めばよくなり格段に輸送効率・コストが削減できるようになりました。

 

ただし、順風満帆に事が進むわけもなく、職を失うかもしれない荷役労働者の反発や、政府・行政の非協力的な姿勢、同業他社や競合する業界との苛烈な競争と、コンテナの標準規格など足並みが揃わないなど、様々な障害があったようです。

それを一人の革新的な経営者(マルコム・マクリーン)の熱意と情熱により徐々に成し遂げて行く姿は、まさに伝記的な面白さがあります。

 

どの時代でも、新しいやり方により革新を起こすには様々な障壁があるものです。コンテナ輸送という今の時代の常識と思われる手法にも相当の困難を伴ったという事は、その結果いかに世の中が豊かになったかという事と照らしあわせてみるととても面白いですし、色々な教訓を感じ取れます。