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グーグル、アップルに負けない著作権法

読了。

 著者の角川歴彦さんは角川原義さんの息子で、角川春樹さんの弟らしいです。有名なのかもしれませんが。

タイトルだけを見ると法律関係の書籍に見えますが、基本的には角川歴彦さんの視点から見た現在のコンテンツ・ビジネスについてのエッセイです。

 

この本に価値があるとすると、後半に収録されている各界の著名人との対談です。

 

たとえば川上量生さんとの対談では「二次創作がオリジナルコンテンツの寿命を延ばすが、しかしその前提としてオリジナルの著作権が尊重されなければいけない」という指摘があり、後段の長尾真先生との対談中での「人の著作物をどんどん再利用することを許す代わりに、再利用した部分のどこでも原著者がわかるような仕組みが必要」という指摘がリンクしていて面白かった。

著作権は、今までの制度の限界として作品単位(本、映画、音楽)という粗い粒度の単位になっていたけれど、それこそ共著作などではやりやすいですが、この章、このセンテンスは誰々の著作、この引用句のオリジナル著作者は誰々、という風にもっと細かい単位で著作権の定義が出来るかもしれないですね。この辺は技術的に出来るできないだけでなく、そういう制度の作成と運用、そしてそもそもそれがメリットがあるのか?という議論になると思いますが。

 

個人的にはMITメディアラボの伊藤穰一さんとの対談が一番興味深かったですが、これは書籍を読んでみたほうが良いかなと思います。既存のメディアという枠組みや著作権という枠組みは、基本的にはその時に権力を持っていた人たちの便宜によって成立していますが、そのパワーバランスが変わってきているのが今の時代、という事になると思います。

既得権益を守りたい人、新しい枠組みに変えたい人、それぞれ思惑は理念もあるし金銭的なものもあるかもしれません。それでも、ハードランディングにせよ、ソフトランディングにせよ、世の中の仕組みは変わっていくのだと思います。