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Strength of weak ties

Strength of weak ties(PDF)

日本語で訳すと「弱い絆」もしくは「弱い紐帯」の「強さ」という言葉。元はマーク・グラノヴェッター氏が会社と労働者のマッチングメカニズムを解き明かすための研究の中で産み出した言葉らしいです。

無作為に抽出したサンプルデータ(人)にアンケートを取り、就職に役立った情報は何であったかを調べた結果、その人たちの肉親や親友など近しい人からの情報「ではなく」、あまり知らない人の情報こそが役に立った、という結果となったようです。

ネットワーク的に近くにいる人は力の行使は容易だが普段から接しているため情報のバリエーションに欠けるきらいがある。ネットワーク的に遠くの人は力の行使は難しいけれど情報の種類は豊富で、本当の意味で参考になる情報を得られる可能性がある。

さらに、近しい人とのネットワークは、そこまで人と仲良くなるまでには時間がかかるため構築が大変だが、あまり知らない人とのネットワークであれば構築も容易だし多くの人と繋がろうと思えば薄く繋がれる。結果として、親友だけで構築したネットワークよりも、何かしらの知り合いが多数いるネットワークの方が有益な情報を得られる可能性がある。

 

この事を指して「Strength of weak ties」という言葉が生まれたようです。

 

 

さて、この論文が書かれたのは1973年でしたが、今の世の中だと、ITリテラシーが高い人は特に、TwitterFacebookというツールを用いて多くの人が「弱いネットワーク」でつながる事が普通になってきました。

特につながる事がより容易なTwitterにおいて、「Strength of weak ties」を実感することが多くなりました。

 

この辺の話はすでに多くのメディアで語られている事で、たとえば以下。

Twitterのゆるさはまんま、グラノベッターの「弱い紐帯」(Weak Ties)の"Weak"だった:インフラ投資ジャーナル/Infra Japan:ITmedia オルタナティブ・ブログ

「緩いつながり」という表現。「ゆるい…」。Twitterが日本で広がり始めた2007年に、Twitterの特徴を表す形容詞として「Twitterはゆるいつながりに特徴がある」などと評されたものでした。今でも「Twitterはゆるい」とよく使いますね。この「ゆるさ」がグラノベッターが言った"Weak Ties"の"Weak"だったわけです。 

 

Twitterそのものが「ゆるいつながり」を提供するものですが、とはいえTimeLineを眺めていると物凄い大量のつぶやきが流れてきて、かつその中にはあまり意味を持たないノイズ的なつぶやきも多く、とてもすべてを目にする事はできません。

「Strength of weak ties」的に有益な情報を得るには標準のTwitterの機能では足りないわけですが、その辺を上手く整理し可視化しているサービスとして、Crowsnestというサービスがあります。

http://www.crowsnest.tv/

基本的には、Twitter上で自分がフォローしているユーザーの情報から、URLを共有したつぶやきを抽出し、さらにその中で重要度が高いと思われるつぶやきを抽出して可視化してくれるサービスです。

 

より詳しくは以下のTechcrunchの記事を。

CrowsnestはTwitterに流れるリンクから関心度の高い情報を表示してくれるニュースリーダー | TechCrunch Japan

Twitterに流れるストリームから人気のあるリンクを抽出してランキングして表示するというのがCrowsnestやretime.meの役割なのだが、Crowsnestがretime.meと違うのは、自分がフォローしているユーザーのツイートからリンクを集計するだけではなくて、全体のツイートから集計したリンクに対する言及頻度や自分がフォローしているユーザーの言及頻度、そして時間の3つの軸で表示の順位が決定されているところだろう。これによって、重要だと思われる情報や自分の関心が高い情報を効率よく見られるようになる。

 

私はTwitter上では数百人単位でフォローをしていますが、基本的にはほとんどの方のつぶやきを見ていません(リストを整理し、特定の関心の高い人だけをウォッチ)。では数百人もフォローする意味がないのでは……と思っていた時期がありましたが、Crowsnestの登場によって意識が変わりました。

自分が興味を持った人、自分に関心を持ってフォローしてくれた人、そういう人たちをフォローした上でCrowsnestを眺めると、自分が関心のある特定のいくつかのクラスターの代表的な情報、ホットな情報が自然と入手できるようになります。

話題のニュース記事や、イベント情報、ちょっとした息抜きの画像、etc、etc…

これらの情報は、単純にニュースサイトを見たりRSSを購読するだけでは手に入らず、何かしら自分と興味関心がある人との「ゆるいつながり」をTwitter上で持っている事によりはじめて得られた、そんな情報も多いです。そして、Crowsnestが分かりやすく整理をし可視化をしてくれる事で容易にその情報にアクセスすることができるようになります。

 

論文発表からおおよそ半世紀後に、「Strength of weak ties」を多くの人が実感できるサービスとしてTwitterが誕生し、その様を分かりやすく我々に可視化して見せてくれるサービスとしてCrowsnestがある。

そんな言い方が出来るんじゃないかと思います。