アイ

シンプルさ

シンプルな人間は羨ましいと思う。同時に、その境地に自分がたどり着きたいかというとそれも違う。

 

例えば、自分の考え、する事、すべてが「正しい」と思い込める事。そういう考え方はシンプルで強い。だけど多くの人はそこまで自分に自信がもてないし、多くの事を学んだ結果世の中の構造はそこまで単純では無いことに気づき、一つの答えを出せなくなる。

色々な葛藤を経て、それでもなお自分の理念を信じて行動し、かつ多くの人の共感や支持を得られる人は、革命家になれる。スティーブ・ジョブズイーロン・マスクみたいに。

でも、多くの人が、そういった英雄を真似して自分の理念らしきものを信じ、「これが正しい」と行動しても、周囲の共感を得ることは難しく、たいていの場合はただの独善家になる。もしくはごく一部の周辺の人たちの共感だけを得て、タコツボ化してしまいます。

 

たとえば、あるコミュニティの中で多少人気がある人が、自分は人気があるから成功者であると思い込み、だから自分の今の結果は正しくて、だからこそ自分が今までしてきた選択や道程もすべてが正しいと思い込む、そんな人をたまに見かけます。これは自己正当化の方法としては非常にシンプルで、陥りやすい罠かもしれません。

あくまで狭い価値観の中でのみ通じる暗黙的なルールや価値観、その上ではじめて成り立つ成功体験というのはあります。そして外部の人には理解が難しいケースもあります。それらの前提を抜きにコミュニティ外の人に対して無遠慮に「俺はこれこれこうだから偉い、それ以外の奴らはダメだ」といったことを伝えたりすると、コミュニティ外の人の共感を得ることは難しいです。

そんな状態でもコミュニティの中では共感を得られたりする事が逆に良くなく、かつかえって「俺達は他の奴らとは違う」的な安易な優越感を喚起することもケースとしてはあり、よりコミュニティ内外の価値観の相克は激しくなります。端的にいうと、外から見ると「あいつは自分で凄いって言ってるけど、外から見てると意味が分からない」、内側から見ると「この良さが分からない外の奴らはダメだ」という状況が生まれます。

 

それら諸々の状況を超越して普遍性をもった偉人たちは別として、そういった排他的になることにより得られる「シンプルさ」というのは、安易だし、個人的にはあまり興味が無いので、なんとなくこんな事を思ったりしました。

世の中のありとあらゆる事象を、混沌のまま、あるがまま受け入れ、それでいてかつシンプルさを保つ。そんな事ができたら良いんだろうなとは思いますが、イメージは漠然としたままです。