アイ

内向きになるLINE

LINE、3つの新サービス--スタンプオープン化や安価なLINE電話などを発表 - CNET Japan

スタンプを有料で購入するユーザーの多くは日本人で、僕の知る限りだと海外のユーザーはお金を払ってスタンプを買うことに抵抗を感じる人が少なくありません。日本より経済規模が小さい国では特に。

国の経済規模や通貨価値にあわせて国ごとにスタンプの価格を変更すれば良いのかもしれませんが、安い国で買って高い国の人に送るスタンプトレードみたいな事をする人が出てきそうなので実現が難しそうです。(トレードとは違いますが、タイあたりで、日本のアカウントで日本限定の無料スタンプを入手し、他の人にプレゼント機能で送る、みたいな商売をしている人が居ると聞いたことがあります)

そうすると基本的に携帯・スマフォ文化が成熟していて、経済力もあって、スタンプをたくさん買ってくれる、そんな国(日本)での売上・収益のパイを増やそうと考えるのは自然の流れで、その施策の一つとしてのオープン化なのだと思います。

 

スタンプのオープン化以外でも、電話機能やコネクト機能はBtoBの調整コストが非常にかかり、他の国にスケールするのが難しそうな分野に思えます。

電話機能は日本を含む6ヶ国、という少ない規模でしか開始できませんでした。以下のFacebookザッカーバーグ)の記事を見るだけでも通信キャリアとの調整はどの国でもハードネゴシエーションが想像されます。

ザッカーバーグ氏、バルセロナでCEOらと気まずい夕食会 - Bloomberg

 

コネクト機能は機能の説明やNDAの締結、信頼性の担保等々のオフラインコミュニケーション含めた対企業間の調整が必要でしょうから、展開に時間がかかることが想像されます。実際、コネクト機能は今のところLINEの本拠地である韓国のメーカー(LG)の製品でしか提供されていません。

家電とLINEで話せるLG HomeChat 発表。冷蔵庫に中身や賞味期限を確認など - Engadget Japanese

 

ということで、今回のLINEのサービス発表は、強固な基盤を築きつつある日本での商売のパイを増やす事が主な目的、と考えられます。もちろん可能性としてはグローバルへの進出余地もあるのでしょうが、BtoC以上にスケールが難しいBtoB領域に関するサービスが多いことからも、そう感じられます。

 

もちろん内向きになることが悪いとは全然思いません。日本ではLINE、中国では微信、欧米ではFacebook/WhatsAppもしくはViber、という棲み分けが行われている現状、それらを切り崩しにかかる戦略をうちつつ、自分の領地では収益基盤を強化するというのは当然の戦略で、今回はとくに後者側の発表が多かったということなのだと思います。

昨年発表されたLINE Qとかフリマサービスよりは、何倍も魅力のあるサービスであることも間違いありませんw