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給媽媽的信

20140318給媽媽的信

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2chまとめ系のブログを読んだりすると、「反日中共から親日な台湾を守れ」的な言説で、ナイーブに自分が嫌いな国 vs 自分が好きな国、の構図で捉えているけれど、これほど台湾の方に対して失礼な姿勢も無いと思います。

 

これは、台湾人の方にとって、まさにアイデンティティの問題で、アイデンティティの喪失の危機を感性が鋭敏な若者が感じ取り、行動に起こした結果だと思います。もう少し卑近な話で言うと、経済状況が必ずしも順調では無い台湾で、就職難が顕在化している中、中国の資本と人が入り込む事で台湾の若者の生活や権利というのは著しく失われる事が容易に想像できます。そのことへの強烈な反発という意味合いもあるでしょう。

 

もともと台湾は第二次大戦後の立場が非常に不安定で、台湾人とは何者で、台湾という”国”は今後どうなっていくのか、米国や日本との距離感や中国本土との距離感の中で非常に脆弱な基盤の中、彼らは何十年も揺れ動いていたわけです。

そして中共の波に今まさに飲み込まれようとしている中、それを商機とみなす方、逆に中共の中に入っていて一発逆転(中共から中国本土の実権を奪い取る的)な壮大な構想を抱いている方、そして今まで生まれ育った台湾そのものを愛し守ろうとする方。。。台湾の中でも多様な方々がいます。

 

今の騒動は、より一般市民に近い立場の、普通の”台湾人”の生活の闘争であり、アイデンティティの闘争、という感じなんだと思います。

僕は何かしらの政治的信条や元に肩入りするほど台湾との結びつきは無いですが、いざ自分の身に降りかかった時の事を考えると、「アイデンティティとは何なのか?」という普段自明だと感じている極めて脆弱な事象について、あらためて考えなければいけないな…という気持ちになります。

 

この「給媽媽的信」というFacebookに書かれた書き込みは、多分に政治的なアジテーションの臭いを感じつつも、悲痛な叫びとも取れる書き込みで、確かに心は揺さぶられます。

為什麼我們不是努力去爭取一個更完善的環境讓更多人有發展的空間,而是抱著人踩人的覺悟一味的提升自己的競爭力? 
(なぜ我々はよりよい環境をもっと多くの人に与える事に努力せず、人を押しのけてただ自分の力だけを高めようとするの?)

為什麼我們總是盤算著「到時要怎麼辦」而不是盡力「阻止它發生」? 
(なぜ我々はいつも「その時どうすべきか」と考えて、「それが発生するのを阻止しよう」とベストを尽くさないの?)

為什麼社會改革我們先想到的是既得利益者和未受到壓迫者「能不能接受」,而不是有些人「權力持續被剝奪」?  
(なぜ我々は社会改革において既得権益者と利益を受けてない抑圧者たちが「(目先の利益を)享受できるかどうか」ばかりを考え、少数の人たちの「権力を奪い取る」事を考えないの?)