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女性たちの貧困

 正月に買って、200ページ程度の短い本だったので1時間くらいで読み終わった。

女性たちの貧困 “新たな連鎖

女性たちの貧困 “新たな連鎖"の衝撃

 

働く世代の女性、特にシングルマザーになってしまった人が行政的な助けもなく、就業的にも大きなハンデがあるということで、非常に困窮した状況に直面している人が多いことが語られていました。

 

ルポタージュとしての側面が多い本ですが、数値的な裏付けも書籍のなかで多くなされています。

たとえば、現在、働く世代の女性の1/3が貧困の状態、そのうち非正規雇用の女性については8割を超える方が困窮の状況にある、らしいです。 

では「貧困」とは何なのか、というと、「相対的貧困率」をベースとしていて、可処分所得が全体平均値の半分より下回る人たちを指して「貧困」と呼ぶらしい。

相対的貧困率は格差が大きくなればなるほど高くなるので、この数値の高さが国全体の貧しさ・豊かさとは必ずしも比例はしないけれど、平均的な水準にすら満たない貧困ラインの収入(※2009年では年収112万円程度が貧困ラインといわれる水準値)しか手にできない人が特に女性に増えているのが現状、らしいです。

 

シングルマザーであるか否かにかかわらず、子供を扶養する人たちに対する金銭的な補助・行政的な子育て支援というのはもっと手厚くならないものなのでしょうか。。相対的に(日本の借金をかたに)資産を所持している高年齢層に配慮するくらいであれば、と短絡的にいつも考えてしまいます。若者を犠牲にすることで年寄りが豊かな生活をしている(もしくは行政的な無駄を許容している)のが現状なので。

 

なお、NHKワーキングプア、貧困についての特集は、いつも日本国籍の人たちのみが対象になるため、今回の書籍でも外国籍の方々が取り上げられることはありませんでした。

僕が何を言わんとしているかというと、おそらく日本に定住している人たちの中で、最底辺の貧困層は日本人でなく出稼ぎ等で日本に職を求めにきた外国籍の方々、ということがはっきしりしています。

たとえば車を作りに群馬や静岡にやってきたブラジル国籍の人たち、たとえば研修生制度という本当に酷い制度で強制労働に近い形で働かされている中国人の人たち。それらの人たちが日本で家庭を持ち、子供も生まれ、しかし彼らを教育するための機関は不足し、結果として教育を十分に受けていない外国籍の子供たちが大量に各地で発生している、という話をよく聞きます。教育を受けていない子どもたちは、おそらく職を探すことに困窮し、社会の中で孤立し、結果として犯罪に手を染めてしまう人たちが増えるでしょう。わかりやすく治安の悪化、騒乱の原因となってしまうことが想像できます。日本人の話じゃないから無視しようとする人も居るかもしれないけど、日本国内で発生しているもしくはしつつある問題で、無視するわけにもいかない。。

日本で最も深刻なワーキングプア外国籍の方々周辺で発生しており、かつ(NHK含む)多くの人達が完全にスルーして見放されており、今後移民受け入れ政策をすすめる中で社会に深刻な悪影響を与える事が想像されます。

が、彼らの事を完全に目を瞑ってスルーしたとしても、なおこの本のような深刻な状況が日本には起こっており、日本の抱える闇というか課題は非常に根が深いものが多いと感じます。