コンテンツ
飛行機の往復で読む本を空港でさがしていて、あまり期待せずに買ってみたんだけど、予想をはるかにこえて面白かった。
コンテンツの秘密―ぼくがジブリで考えたこと (NHK出版新書 458)
- 作者: 川上量生
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2015/04/10
- メディア: 新書
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ジブリで「プロデューサー見習い」をされていた時に経験されたことをベースに、そもそも安易に使っている「コンテンツ」という言葉を川上さん流に定義/再定義しよう、という本です。
最終的な結論については本書を通読したほうがコンテキストが把握できてより理解しやすいと思うので、当記事では触れませんが、気になった箇所を抜粋的に。
◯コンテンツとは現実の模倣である
アリストテレスの文章を引用し、コンテンツとは
- 異なった媒体で
- 異なった対象を
- 異なった方法で再現する
と定義しています。同じ原作でも、それを具現化する方法の違い、もしくは同じように映画化するとした場合でも異なる人が異なれば、それは異なるコンテンツである、と。
なぜ現実の模倣を行うのか、という点については、それが人間の本能だから、と仮定しています。
◯コンテンツの本質とは
「小さな客観的情報量によって大きな主観的情報量を表現したもの」
現実の情報量のうち、強調したい部分(主観)を強調し、それ以外の存在はしている情報(客観)のうち省略可能なものは省略し、もしくはデフォルメすることで、現実世界にあるものをそのまま伝えるのではなく、コンテンツクリエイターの伝えたいことを消化しやすい形で加工されたもの、とでも言えるでしょうか。
◯クリエイターとは
「クリエイターとは脳のなかのイメージを再現できる人である」
これは非常に腑に落ちるたとえです。
であれば皆が皆、脳のなかにあるイメージを具現化すれば良いのだと思いますが、その難しさについて以下のように整理しています。
- 脳のなかのイメージを再現する技術的な難しさ
- 脳のなかのイメージを見つける難しさ
- 自分の脳にはないイメージをつくる難しさ
といった感じで、当書のなかで語られている内容のうち3つほど抜粋しましたが、内容は非常に平易で、それこそ小学生でも読解できるくらいにわかりやすく書かれています。かつ内容についても腑に落ちる内容であり、学術的な要素はないものの人口に膾炙した内容でまとめられていると思います。
ということで、お勧めの書籍です。
コンテンツの定義のお話以外に、宮﨑駿をはじめとするジブリの方々のエピソードなども詰まっていて、そういうものに興味がある人にとっても面白い内容なのではないかと思います。