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優秀とは

「優秀」と言う言葉には個人的にはトラウマがあります。結論から言うと「優秀」と言うラベル付を安易にして、それを逃げ口に他者を批判したりカテゴライズしたり排他的になったりする人は嫌いです。

僕個人の経験を少し書くと、昔から仕事の場においては相対的に「よくできる」タイプの人間だったのか、20代前半の頃から年上の人を部下にマネジメント的な役割で仕事をしたりしていました。もちろん能力としてそこまで高い人間であるとは今も昔も自覚してないので、あくまで組織の中での相対的な立ち位置として、たまたまその時はそのように振舞っていたということです。

そうなると、組織全体としては重宝されつつ、個人としては、年下の人間に追い越された人たちの妬み・やっかみ・そのほか諸々の感情(ナイーブに「むかつく」等)とかの感情をどうしても喚起してしまい、その対策として、ひたすら謙虚に振るまい、自己主張をできるだけ避けたり周りの意見を出来るだけ聞き、本質的でない場面ではひたすら道化を演じたりというようなことをしてました。

とはいえ、どのように振る舞っても、相手によってはどうしてもうまくいきません。
ちょっとでも意識高い事を言えば「◯◯さんは優秀だからそう思うかもしれないけど...」みたいな事を言われ、モチベーションが高くない人を鼓舞するようにしようとしても「◯◯さんは優秀だから出来るかもしれないけれど、私みたいな出来ない人の事も考えてください」みたいな事を言われ、じゃあ思いっきり謙って水準をあわせようとすると「◯◯さんみたいな優秀な人に媚びられるとむかつく」みたいな事を言われるわけです。

僕が優秀かどうかというと世間的には優秀ではないと思いますが、「優秀」とラベル付けされるような人は

  • 他人よりもその対象の事が好きで、のめり込んでいて
  • 他人よりも多くの時間を使ってそのことを考え、時間を割き
  • 他人よりも日々努力をしており
  • そういう振る舞いを長期間続けている結果として多くの経験と実績を持っている

ような人たちです。もちろん天賦の才能によってそれらがもたらされている部分もあるかもしれませんが、基本的には、「優秀でない人たち」に比べて多くの時間と熱情を注いでいるから、の結果です。

そういう努力とか、苦労とか、それこそ人生をかけるくらいの熱情を、すべて「優秀だから」という言葉で塗り固めてしてしまうのは、あまりにもその人に対して失礼な気がしています。

 

ちなみに、上述のような人の扱いに困っていたとき、その時の上司が見かねて

「◯◯さんは、若くして頑張ってるけど、今でも他の人より勉強し、新しい事について貪欲にキャッチアップし、仕事に情熱を注いでいる。今、◯◯さんと皆には正直力量の差があるけど、このまま時間が経つと今以上にどんどん広がっていくだけですよ。だから、◯◯さんを皆も見習えるところは見習ったらどうですか?」

って話をしてくれました。

僕はその上司を尊敬していたので、とてもその言葉はありがたくて嬉しかった記憶があります。

で、その件の相手がどうなったか、上司の意図を汲んで、自身の言動を少しは微調整するようになったでしょうか?

その際の一番最初にあった反応は、「◯◯さんみたいに優秀な人は上司に褒められて羨ましいですね」ってものでした。
人間は、そんなに簡単には変わらないですね......


そんな経験があり、人を「優秀」とかそんな言葉で安易にラベル付けして、自分を正当化したり逃げたりする人は、個人的にはあまり得意ではありません。