アイ

心の怠惰を肉体の力で凌駕する

今のオフィスの前は大きな国道で、かつ近くに信号も少なく、歩道橋のみが横断する手段、みたいな環境です。

とはいえそんなに段数が多くない普通の歩道橋ではあるので、健康的な若者であれば苦労するような環境ではないです。

しかし、観察していると、歩道橋をわたらず、信号も何もない国道を横切ろうとする人が多いです。

 

「交通法規を守らない人はダメだ!!!」的な事を特に声高に言うつもりは無いのですが、彼らはなんで歩道橋を使わないのかを推測すると

  • 階段を使うのがダルいので楽したい
  • 早く道を横断したい

のいずれか、もしくは両方だと思います。

最短距離を選択することで時間的なロスを最小化する、というのは、個人的にはなんとなく理解できる行為です。しかし、実際のところ、国道は大変に交通量が多く、車速も速いため、車の隙間を縫っていくのは大変危険で不可能です。そして車が途切れることも無いため、歩道橋を使わないと使った際よりも2~3分程度は待たされ、結果として時間的なロスが発生します。

確率論ではありますが、概ね、せっかちな人は歩道橋経由で横断した方が良い、という話になります。

 

じゃあ、なんで皆が皆、時間的に最も効率のよい手段を必ずしも使わないのかというと、心理的に「階段を登る」ということに対して抵抗があり、少しでも楽するために(結果的に歩道橋登るよりもはるかに時間をロスしてでも)危険な国道を横断する、という選択肢を取るのだと思います。

こういう不合理な選択をしなくて済むようにするには、どうしたらよいか...?

少なくとも、階段を登る系の話であれば「足腰を鍛える」というのが一番わかり易い解決策です。

 

個人的な話ですが、僕は定期的にジムなどで体を鍛えているのですが、その最大の理由は「ダイエットしたい」「体を鍛えたい」「健康になりたい」という理由ではなくて、「肉体的・体力的な理由で目の前にある選択肢を減らさないようにしたい」ということです。

足腰が丈夫で、普通の階段であれば何の心理的な抵抗もなく昇り降りできるのであれば、上述のようなケースで不合理な選択をしなくても済むようになります。それ以外でも、体力があれば、他の人が「疲れた」「辛そう」と合理的選択肢を放棄してなんとなく楽な方に流れるようなときでも、率先して合理的な選択肢を選ぶことができます。

 

人間は身体的な生き物で、肉体からは逃れられないので、その制約をいかに解消し日々ストレスフリーな生活を送るか、というのは結構大事な考え方なんじゃないかと思ったりすることが結構あります。

 

 

ちなみに、最近巷を賑わしている自転車乗りのマナーの悪さですが、信号無視を頻繁に行う人は基本的に合理的な選択肢を放棄している人で、私見では概ね「自分の脚力が無い、自信が無い」人たちです。

自転車は、ストップアンドゴーをするのが結構負荷がかかります。体力的にも、脚力的にも。一度加速したら、その速度を出来るだけ維持するほうが、自転車を乗る上では楽です。停止すると肉体的にも汗をかきますし、止まった段階から再び加速するにはそれなりに体力を使います。「信号で休み休み走ったほうが楽そう」という言説は、自転車をそれなりに乗りこなしている人からは出てこない発言だと思っています。

とはいえども、車両が信号無視をして良いわけではなく、都会の自転車乗りは信号によるストップアンドゴーを前提に、ストレスを感じない程度には脚力を身につけるのが必須のスキルの一つだと個人的には考えています。

ロードレーサーなど、加速性能も高く、最高速もそれなりにスピードが出る自転車に乗りながら、信号無視している人たちは、個人的には「ロードレーサーを乗りこなすための最低限の技量と体力を持ち合わせてない人達」で、自分に自信がないから信号無視を繰り返している人だ、と思って、いつも見ています。

ちなみに、主観なので定性的な話なのですが、観察した限りだと歩道橋を無視して国道を渡る人も自転車で信号無視をする人も、ご老人の方々が多いですね。ロードレーサーで信号無視をする人も、体力的に然り、という感じなのでしょう。