アイ

ネアンデルタール人

 

ネアンデルタール人は私たちと交配した

ネアンデルタール人は私たちと交配した

 

 読みました。

僕達が学生のころは、我々の祖先はアフリカを起源とするホモサピエンスであり、別の人類であるネアンデルタール人は我々の祖先ではない(遺伝子を引き継いでない)というふうに教わってきました。

しかし2010年以降、教科書には異なった書き方がされているはずです。ネアンデルタール人とホモサピエンスは交配し、遺伝子が引き継がれている、と。

 

この本は、ネアンデルタール人のゲノム解析に挑んだスバンテ・ベーボの自叙伝的な書籍です。

書籍自体は長編ですが、内容は平易で書かれており、小保方問題などで微妙に遺伝子領域の用語の詳しくなった(PCR、等)我々日本人にとっては比較的容易に読みこなせる内容になっていると思います。

 

精度の悪さや手法の不確実性に憤りを感じながらも数千年前の遺伝子情報解析の研究のムーブメントに乗り遅れたベーボが、それでも地道に誠実な研究を続け、DNAシーケンサの技術の民営化・高度化という波にも助けられ、小規模組織で人類未踏の研究を成し遂げていくその道のりは、下手な勧善懲悪な小説よりも痛快感があります。

もちろん自叙伝なので、自分に利する書き方が多くされている可能性もあり、事実関係は別にあたったほうが良いとは思います。ただ先に述べたように、単純に自然科学についての解説書という以上に、お話として面白い本だと思いました。

 

小保方氏の名前も出してしまったので、比較対象として、以下の本と照らし合わせてみてみると、自然科学の研究における研究者のあるべき姿勢や、求められる資質、外部からのプロの目による視点の大事さ等々、いろいろ見えてくるかもしれません。

この書籍は、いまのところ僕が今年読んだ書籍の中で一番の良書だと思いました。つきつけられるテーマが深淵すぎてひとことではまとめられませんが。

 

捏造の科学者 STAP細胞事件

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