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「学力」の経済学

 

「学力」の経済学

「学力」の経済学

 

 「政治に関しては無関心な人でも、教育に関してはひとこと言いたい、という人が多い」

ちょうど同僚とこんなテーマについて雑談をしていたのですが、僕は少し上記の話には異論がありますが、この本にも同じような事が書かれていました。

家庭を持たれている人にとって、ご自身の子供の将来は一番の関心事であり、将来を形作るうえで「教育」というのは一番大事なテーマだからでしょうかね。

 

この本は、経済学...計量経済学の手法を用いて、教育に関わる諸問題を分析する「教育経済学」の観点で書かれた本です。

たとえば、子供に勉強などやりたがらないことをやらせるときに、ご褒美(宿題終わったらおやつ食べましょう、的な)で釣る事はありかなしか、といったテーマについて教育経済学の視点で分析しています。

通俗的には、もので釣るのは良くない、自律的にやれるようにするべきだという意見が多い中、この本では「釣ってもよい」という結論になっています。ただし、たとえば「100点とったらご褒美」みたいに結果に対してご褒美を与えるよりも、「毎日1時間勉強したらご褒美」といった感じで機会創出の道具としてご褒美を与えたほうが良い、といった具合。(本の中ではアウトプットではなくインプットにご褒美を、といった感じで書かれています)

 

ただし、この本に書かれている内容は、マクロ的にはそうかもしれませんが個々人の家庭にすべて適応可能な話ではないので、一般的な親御さんとしては子供に対してどう接するべきかの一つの指針になるが過信や傾倒しすぎるのは禁物かな、という気がしています。

こういうアプローチは教育行政や教育者にこそ有益な情報であると感じます。

そしておそらく、本書で取り上げられている内容で一番重要なことは、教育の質や教師の質について、教育経済学の観点で分析をしたいという著者の目的が達成できない日本の教育会の現状なのかな、と思います。

 

たとえば、ある教師に教えられた子どもたちの成績はどれくらいか、といったような数字について、個人情報保護の観点から外部の人はアクセスすることができないようです。そのせいで教育方針としてどのようなやり方が効率的なのか、といった定量的な効果測定、分析ができない、と。

アメリカとかでは2000年代から教育においてもエビデンスを重視した政策をとられていると本書に説明される中、日本の教育行政というのは非常に前近代的だな、という思いにさせられます。

この事が、当書を読んで一番印象に残ったことでした。