戦争めし
戦時下、戦争の最前線や、捕虜収容所、焼け野原になった東京など、そういう環境でみなどのような食事を摂っていたのか、実話をベースにまとめられたエピソードがいくつか載っています。そして、その時の体験や習慣が、予想以上に現代につながっています。
たとえば、満州に出兵した兵士が現地で食べた餃子を持ち帰って再現し、それが広まったことから宇都宮が餃子の街になった、という話。
たとえば、戦後の食料難の環境下、自由に飲食店の営業ができなかった時期に、お米1合と引き換えににぎり寿司10貫を交換するという習慣が生まれ、そのことが現在の江戸前寿司の姿に繋がる、というお話。
読んでいて、とても人間の本質を表している本だな、と思いました。
人間にとっては「食」は欠かせない要素であり、どのような困難に見舞われても、人間、少なくとも当時の日本人は、前向きに、今ある環境で最善を尽くして、少しでも美味しい食事を取ろうと努力をする。
そんな姿に、人間のたくましさを感じます。
そして、食に対して不自由をしない今の日本というのは得難い環境であり、あたりまえのように感じてしまうこの環境に感謝をし、この環境を失わないためにも戦争は絶対に起こしてはいけないのだな、と感じたりもします。