年収1000万円は金持ちなのか貧乏なのか
いわゆる「当たり前の幸せ」を愚直に追い求めてしまうと、30歳サラリーマンは、年収1000万円でも破産します。
- 作者: 小屋洋一
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2014/03/28
- メディア: 単行本
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この本、書評とかでは「当たり前の事が書かれている」という言説が多いですが、このテーマで正論を書くと、節度を以って日々生きている人にとっては当たり前すぎることを書くしか無いし、しようがないんじゃないかと思います。
「当たり前」というのは、
- 収入以上の支出をしたら破産する
- 今の時代は昔(親の世代)とは違うので、親世代の「常識」を踏襲すると破産する
ということです。
親の世代は高度成長期で、右肩上がりで国が豊かになる時代で、給与も、土地などの資産価値も、一般市民的な観点では何も努力せずに勝手に右肩上がりになる時代でした。だから、何十年ものローンを重ねて土地を買ってもなんとかなったし、専業主婦みたいな特殊なロールも許容された。
でも、今、同じような生活を「常識」にとらわれて行おうとすると、たとえ30代で年収1000万円もらっているような人でも破産するよ、というお話でした。
書籍としては、主に
といったあたりが昔の「常識」として取り上げられていました。
僕の所感としては以下のような感じです。
- 本当の意味での「富裕層」に加わるためには1000万円程度では所得が圧倒的に足りない
- 年収1000万円くらいでは、たとえば年収500万くらいの人たちと、今の日本では生活ランクの差がつきにくくなっている
- 1000万という数字のキリの良さに惑わされてお金持ちのように見える
実際は1000万円程度ではそれ以下の年収の人と決定的な差を生み出すほどの豊かさとは言えないが、キリの良さや見栄えの良さなどから特別感を醸造する結果になっていて、しかし現実とはかなりギャップがある、ということなのかなと思っています。
一般的に「富裕層」と呼ばれる人たちは、100万ドル以上の投資可能資産(居住地以外の土地や、株や、美術品など)を持っている人たちのようです。ミリオネアと呼ばれる所以ですね。
また、お金持ちの象徴である「馬主」資格は、日本中央競馬会においては
- 直近二年間、所得が1700万円以上
- 7500万円以上の資産を所持している
というものです。
実際にはプラスアルファで既存の馬主会並びに競馬会の有力者とのコネというものも必要なようですが。
端的に言うと、「1000万円」程度の年収では、到底富裕層には届かない、という話なのかな、と思います。
消費者物価などの観点から見ると、バブル崩壊後日本は停滞はしていますが、それでも我々の親の世代と比べると相当に物価が上がっています
こちらのブログ中の画像を見ると、現在は1970年代に比べると物価指数は約2倍になっています。
70年代に働いていた若者が年収500万円で頑張り、今年収1000万円相当の生活をすることと、今の若者が年収500万円で頑張り、将来的に年収1000万円相当の生活をするのでは、それぞれの豊かさの感じられ方が大きく違うと思います。
もちろん年功序列的な右肩上がりモデルが崩れ去った今、今の若者が昔のように右肩上がりに収入を上げていけるかすら、かなり怪しいです。
実際のところ、年収1000万円相当の人は日本の中で3~4%しか居ない、かつ年収300万円以下の人たちがどんどん増えているという話が現実で、以前に比べて相対的に物価が上がっているのに所得はそういう尻すぼみな状況というのは、日本という国は生活コストが高い割に相対的にどんどん貧しくなっていっている、ということなのかもしれません。
僕としての結論は、年収1000万円で貧乏というのは無理があるがお金持ちとは決して言えないということと、年収1000万くらいでタワーマンション買ったり伴侶を専業主婦にしたりするのは「見栄を張れる」という点以外に実利がなく結構勇気が要る行為ですよ、という事です。