パタン・ランゲージによる街選び
タイトルは完全に釣りです。
最近、会社の同僚が引っ越しを考えているらしく、いろいろと「どの街が良いか」というような話をしたりしています。
しかし、その中で挙がる憧れの街が、決して住みやすいとは思えない街であることが多いのに少し釈然としないところがありました。とはいえ、もともといわゆるブランド力のある街も多くは僕の視点からは住みにくい街が多く、住んだ経験がない人はそういう情報に引きづられているのかな、と思います。
浮かんでは消える街と延々人気を維持し続ける街を比べると、その差が情報量であることは歴然だ。人気の街では商店街、商業施設、店舗から行政、個人に至るまで様々な団体、人が、同じ街に関わりながらも異なる情報を発信している。再開発のように発信元は開発事業者、内容は開発情報と単一なものである場合とは量、そして質も異なるのである。
つまり、コンテンツの多い街ほど情報発信量が多く、それが人気の源となっているのだ。
要するに、住みやすいという実体とは無関係に、広告宣伝も含めた情報の発信量が多い街が「住みたい街」のランキングに影響を与えている、ということなのでしょう。
僕個人の観点からは、2015年のランキング上位の街で、住みたいと思える街は2~3箇所しかありませんでした。
- 古くからの街でない人工的な街(不便で多様性が無い)
- 起伏が多くて移動が大変
- 袋小路的な場所にあり車や電車などの選択肢が限定的
- 広い公園が周辺にない
- 駅前や周辺がゴミゴミしていて移動にストレスを感じる
あたりが、住みたい街ランキングに上がっているにも関わらず僕が「住みたくない」と思う主要因です。どこがどれとかは明言しませんが。
別の話で、最近、建築やまちづくりについて研究していた人と話す機会があり、その場でふとクリストファー・アレグザンダーの「パタン・ランゲージ」について話をして、盛り上がりました。
パタン・ランゲージについては以下の記事などを参考に。
1555夜『パタン・ランゲージ』クリストファー・アレグザンダー|松岡正剛の千夜千冊
余談ですが建築系の人からすると、こんなある意味マニアック(?)な知識を持っている人は他業界にはほぼおらず、そのこともあって非常に食いつきが良かったです。
その際の会話を通して、住む街を決めるときも、パタン・ランゲージにもとづいて自分が必要だと思う要素をピックアップし、それらを内包するような街を選ぶと良いのではないか、という気がしました。
手元にアレグザンダーの書籍が無いので、webサイトなどから断片的に、僕が必要としそうなパタンを切り貼りしてみます。また、それぞれのパタンの関連性と作用についても本来考慮すべきですが、ここでは考慮しません。
クリストファー・アレグザンダー『パタン・ランゲージ』全項目リスト - FAMASAKI.COM
まず、移動のしやすさについて
- 公共輸送網
- 環状道路
- 9パーセントの駐車場
- 平行道路
街に住んでみると、今住んでいる場所と、職場もしくは余暇を過ごしたい場所とのアクセスのしやすさがかなり快適さと密接につながりがあると感じられます。
そのためバスや電車などの起点へのアクセスのし易さ、その多様さ、利用しやすさ、そして移動先の多様さというものが大事になってきます。端的に言うといろんな路線にアクセスしやすい場所が住みやすい、という話です。
また、たとえば東京23区住みでもやはり車で移動が出来ると選択肢が大幅に増えて便利さが増すので、車の利便性も考えておいた方が良いです。車で走りやすいかとか、止められる場所はあるか、とか。
コミュニティや商業施設、周辺環境について。
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プロムナード
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買物街路
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静かな奥
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手近な緑
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地区スポーツ
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個人商店
商店街は近い方が良いです。これはスーパーが近くにあれば良い、という事を意味していません。単一の商店ではなく、小さくても個人商店でも良いので多様な店が集結する商店街があることで、生活の多様性が増しますし、ただぶらぶらしているだけでもいろいろな発見があって楽しいです。
また、散歩をしたり、読書をしたり、ちょっとした運動や余暇を行えるような、広い公園やスポーツ施設が近くにあることで生活にゆとりが生まれます。
僕が今住んでいる街は上記を満たしており、だからこそその大事さを理解している感じですが、以下のような要素があればより生活が楽しくなるのにな、とも思います。
- 水への接近
- 大きな門口
- カーニバル
- 池と小川
- 路上カフェ
水に親しめる環境が不足していることと、開放的な商業施設が少ない、というところですね。
みたいな感じで、引っ越しを考えている人は、自分が求める住環境を「パタン」として言語化してみて、それらを満たす街を探す、というアプローチも良いのではないかと思っています。