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あとかたの街

 

あとかたの街(1) (BE・LOVEコミックス)

あとかたの街(1) (BE・LOVEコミックス)

 

 

Amazon Kindle で1巻無料ダウンロードしてたので読み始めてみて、ただならぬとんでもない雰囲気を感じたので、全巻大人買いしてみました。

この漫画は、第二次大戦中の名古屋で起きた、戦時下での生活、関東大震災に匹敵する地震、そしてアメリカ軍の空襲などを、一人の少女の視点から捉えた漫画です。

この漫画に描かれている少女と、そして少女の家族は、極めて平凡でこれといって特徴の無い家族に見えますが、それでも、読後感として彼女らが激しすぎる戦火を生き抜く事が「奇跡」としか捉えられないことに、逆に僕個人的には戦慄を感じました。

この漫画の特徴としては、多くの戦争漫画/反戦漫画にあるような特定の思想におもねるわけでもなく、感情を爆発させるでもなく、物語としては非常に淡々と過ぎていくことです。おそらく作者の母の体験談を丁寧に書くことにより、生活の等身大の姿と、その生活を跡形も無く無慈悲に破壊する戦争の愚かしさの対比が浮き彫りになり、結果それが我々一般市民としての「戦争」というものがどういうものなのか、説得力を以って描けている理由なのかなと思います。

 

戦場に赴かなければいけない若者の悲劇、無辜の一般市民が戦争に巻き込まれる悲劇、間違っていると誰もが思っているのに口に出せない悲劇、権力の暴走はこれだけ多くの人に対して犠牲を強いる。だからこそ戦争はどのような理由であろうとも、起こしてはいけない。

そんな事をあらためて感じさせる漫画です。