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アイ

マナーとか差別とか

この間、知り合いの中国人と話している時に「春節」の折に大挙して日本に来訪していた中国人観光客についての話になった。

彼らに対する印象を聞かれたので、一応好意的な意味で「最近は日本という国を理解してきたのかマナーがだいぶ良くなってきたよね」というような話をしたら、「マナーが以前は悪かった」という風にとらえた相手は少し気分を害したように以下のような話をしだした。

「日本に来て驚いたのは、みな老人を敬わない。中国ではどんな状況でも目上の人は大事にするし電車では先を急いで老人に席を譲る」

「日本人は冷淡だ」

「日本人はクジラやイルカを未だに食べる。他に沢山食べ物があるのに考えられない」

etc, etc...

 

いろいろ各論として言いたい事もあったが、僕の中国語の表現能力の問題もありあまり踏み込んでも意味ないかなと思って、「お互い守るべき文化もあるし、価値観もあるから、それぞれを尊敬をしないといけない」というような話しでお茶を濁しました。そして相手もそのような軟着陸の結論を許容するくらいには十分に聡明でした。

 

マナー、という言葉を口にした時に、イメージするのは、いわゆる礼節・プロトコールといった格式高いものというよりは「大多数の人が是とする振る舞いを守る」もしくは「大多数の人が否とする振る舞いをしない」という事に収斂する気がします。

日本人が、日本に来たばかりの外国人に対して「マナーが」と目くじらを立てることは簡単なことで、相互理解のためには多少の寛容と多大な相手への関心・理解が必要だと思います。

とはいえ、「マナー」的なものは生活環境や生活習慣から生み出されたベストプラクティスという側面もあるので、すべてを相手にあわせて恭順することは現実的ではないので、相手に理解を求め続けるのはやはり必要です。

同様に、日本人が外国や日本人コミュニティと異なる場所に赴いた場合は、出来る限りそのコミュニティの中のマナーを出来る限り理解して守ることも当然必要なのは、言うまでも無いです。

 

僕が最近知人によく話すフレーズとして「お互いのちょっとの譲歩と、ちょっとの我慢、そして多くの愛情、これらを忘れずにいきましょう」というものがあるのですが、異文化の人たちとの交流にもこういう考え方が大事だな、と思ったりします。

 

上記の中国人との話とは別に、「マナー」というものに対して最近よく考えるようになりました。多くは、マナーみたいな曖昧な概念に縛られすぎると危ういし、考えが硬直化してしまうのでは、という危機感です。

自らが長年の生活から身につけた生活習慣からのみ物事を考え行動をすると、たとえば「マナー」というような曖昧な概念から文化の衝突に直面することがあります。

「自分は長らくこの考え方にしたがって生きてきているから、このやり方が正しい」と暗黙的にも明確にも意識をしているから、自分が信じる正しさを破られることによる強い警戒心と不満が生まれます。

それはしようが無い気もするのですが、僕が一番怖いなと思うのは、自分を正当化するために、自分が属するコミュニティが一般的に信じている概念に自分も与することで精神的に多数派に属し、それらに属さない人たちを「正しくない」と攻撃する、みたいなことです。そして実際に周りを観察しているとそういう人をよく見かけます。

 

最近僕が遭遇したケースだと、タバコを吸う人を過剰に攻撃したり、他人目につくところに虫の形をしたお菓子が置かれていたことにびっくりするくらい過剰に反応する人、を見かけたりしました。

これは、自分が嫌悪していて受け入れられない、公共性を多いに損ねる、ということ以上に、自分が信じる「正しさ」を守らない人がおり、かつ自分が精神的に多数派であるもしくは正当性があると信じているから、自分を「正しい人」と主張したいがためにこのような行動をとっているのだと僕は想像しています。

昔、戦時中に、「天皇陛下バンザイ」的な概念に従わない人を見下したり罵倒したりする人がかなりの数いた(戦争が終わった途端に豹変した)という話は当時の小説や評論などからも伺い知れますし、そういう意味でマナーというもの、通俗的な意味でのマナーというものに対して、強いこだわりを持ちすぎている人は、非常にあやういものを感じてしまいます。

 

とはいえ、その辺のバランスというのは難しいものです。自分でもどのようなところに着地すべきなのかは皆目見当がつきません。

少なくとも、僕は以下のようなフレーズはできるだけ口にしないようにはしようかなと思います。

「常識的に考えて」

「普通はそうする」もしくは「普通はそんなことしない」

「どこから突っ込んでいいかわからない(けどお前は変だ)」

「言わなくてもわかるでしょ」

などなど。