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新・映像の世紀 第6集

www.nhk.or.jp

結果論として、屈指の名作だった「映像の世紀」の名前を汚すだけの底の浅い番組になってしまった「新・映像の世紀」ですが、この第6集を持って最終回でした。

評価を落とす最大の要因は「ドキュメンタリー番組なのに、恣意的に物事を語り、事実を時に捻じ曲げて報道する」という姿勢にありますが、その辺については第4集・第5集で大半の人が見切りをつけたと思うので特に僕は書きません。

 

第6集である今回は、別の意味で、テレビのドキュメンタリー、もしくはNHKの「新・映像の世紀」のような番組の取り組みの限界を感じさせるものでした。

映像の世紀」の頃の世の中においては、これまで人目に触れる事が少なかった秘蔵の映像が、アーカイブの整備により発掘され、世に公開される、その媒介者としてはテレビ局の存在感は絶大で、それが故にこのようなドキュメンタリーにも価値があったと思います。 

しかし今は、一般人が撮影した動画がYouTubeFacebook、最近だと periscope などのツールを使って全世界に公開され、それが第一次ソースとして世の中を駆け巡り、テレビなどのオールドメディアはフォロワーの立場、追随する立場になっています。

「新・映像の世紀」の第6集では、そのように一般人の映像が世の中を動かす時代になったことを様々な象徴的な出来事を紹介することで説明していきます。

ISやアラブの春の話や、LGBTに対する運動のきっかけとなったジェイミー君やローデス兄弟のYouTube動画が世界に反響を与えた話など、多岐にわたって。

しかし、ある程度世間に興味があり、日々ニュースを新聞・テレビ・インターネットにこだわらずに入手をしている人であれば、話は知っているし、映像自体も見たことがあるものばかりでした。

 

僕の視点では、この第6集の視聴後の感想は、「今さらとしか言えないような内容を、恣意的に、雑なまとめで届けられても、しらけてしまう。」というものです。

今回の内容に衝撃を受ける層があるとしたら、インターネットというものの存在を軽んじて今まで生きてきた、テレビや新聞に価値観を依拠しすぎてきた中年層・老年層くらいだと思っています。そういう層に対して、インターネットで行われてきたここ10年くらいの変革というもののほんの一部の断片を伝え、彼らの意識を変える、という意味では価値がある番組だったかもしれません。

 

しかし「映像の世紀」というタイトルを冠して、かなりNHK的にも気合を入れて作ったはずの番組が、こんな酷いレベルのものしか生み出さない、ということには失望をしてしまいます。

もちろん、NHKという立場上、いろいろと制約があったが故の苦しみの結果なのかもしれませんが。

 

ただし個人的にはNHKの番組のクオリティや、NHKスペシャルの質には引き続き期待しています。

来週放送予定の「ママたちが非常事態!? 2」は前回の内容が個人的にはとてもおもしろく、今回も録画予約をそそくさと行いました。

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