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アイ

民主主義という病い

 

 以前購入した「卑怯者の島」が悪くない作品だったので、kindle 版についてはかなりディスカウントして販売されていたので購入して読んでみました。

しかし、当作はゴーマニズム宣言の体裁をとった短編コラムの集合体のような作品で、一貫したストーリーを描き出した「卑怯者の島」にくらべると若干手抜きを感じさせます。独特の作風も相まって鼻につく表現、一方的な中傷も多く、この本を読んだことを公言することがはばかられる内容になっています。

唯一、SEALDsについて言及したと思われる内容で、以下のセリフは個人的にも「その通りだなぁ」と思い腑に落ちるところでした。

 大学生だって、国会前で抽象的なデモをやるヒマがあるのなら、自分の住む地域の「町内会」の手伝いでもしたらどうか?

自分の住む共同体の民主主義には全然関心がないくせに、国家大の民主主義ならSNSで集合して大騒ぎ

 以降、「パトリオティズムなきナショナリズムは右派にも左派にも流行している」と続きますが、パトリオティズムとはつまり愛国心のことですが横文字の単語をあえて使いたかったようです。この部分はあまり個人的には同意できません。

とはいえ承前の内容は、結局日常の生活の中で世の中を合議的に良くしていきたい、というプロセスを特に行わずに、一足とびに「デモ」という形で「民主主義ってなんだ?」と語り出す姿は滑稽であり、そのことをうまく表現している節ではあるな、と思いました。

 

この本の内容は、フランスで勃興した民主主義の概念とは何なのか、ということをつまみ食いした感じで雑に紹介されています。

しかし、基本的に時間軸は過去に進んでいて、過去さんざん議論されたことをマンガという形でまとめなおしているにすぎないように思えます。

最近はリキッドデモクラシーといった新しい概念の政治実験が欧州を中心で行われていたりと、この本で書かれていたような内容の積み重ねの上で行われている未来への取り組みが数多く存在します。しかし、この本は、「民主主義」ということをテーマに掲げているように見える一方、2010年代から起こっている新しい変化については触れられておらず踏み込みが甘いように思えます。

正直、この本を読むためにお金・時間を浪費するくらいなら、今これから起こる変化、未来について思いを馳せたほうが良い気がしました。

NHK ドキュメンタリーWAVE

リキッドデモクラシーの代表的な存在であるドイツ海賊党については、よく批判されるNHKでも3年も前から特集を組んでいたりと、NHKはこういう世の中の変化に対して機敏に取り組んで居る気がします。それに多くの人はアクセス可能な状態にいるけど、興味関心がなく取りこぼされていく。

結局、我々ひとりひとりが賢くなっていく努力とプロセスを積み重ねていかないと、何を言っても始まらないのかなという感じになります。