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民主化後の台湾

 

民主化後の台湾: その外交、国家観、ナショナリズム (フィギュール彩)

民主化後の台湾: その外交、国家観、ナショナリズム (フィギュール彩)

 

 最近新書ばかり読んでいましたが、たまにはこういう学術書に近い書籍を読むのも良いですね。

当書は表題にあるように、蒋介石蒋経国の治世後、民主化のプロセスを歩んできた台湾の政治的な歴史についてまとめられている書籍です。

台湾は李登輝陳水扁民進党出身の首相による独立志向の強い政権が続きましたが、相対的に国力を蓄えた中国の妨害戦略により外交の失策が目立つようになり、中国との橋渡しを期待されて国民党の馬英九が就任するが、その中国よりの政策により国民の反感がひまわり革命などの大規模なデモに代表されるように吹き上がり、2016年の選挙で国民党は惨敗、民進党蔡英文が政権を握る、というのがここ数十年の流れ。

 

李登輝陳水扁の頃には「台独」への志向が強かった政治の方向が、外交の行き詰まりにより「親中」寄りに傾き、それを正す形で数々の市民デモが発生し、蔡英文政権では「現状維持」、現在享受している「自由と独立」を維持するために現状を維持する志向が強い、とは当書の分析でした。

そして、独立にも融和にも全力に傾かず現状維持を志向するのは、中国に対する「恐れ」が理由である、そして親中路線から一歩退いた蔡英文政権は早速さまざまな中国からの圧力、妨害工作を繰り広げられ、大変むずかしい政権運営を強いられるであろうという分析がなされていました。

 

台湾も日本同様、中国の躍進に比して世界や東アジアでの存在感を失ってきており、その中いかに国際的立場を保持し、アイデンティティを喪失しないでいられるか、台湾の明日は日本の我が身であり、日本人としても台湾の情勢から目が離せない時代になってきているように思えます。