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教養としての「昭和史」集中講義

 

この方は学習院大学の大学長を勤められている方のようですが、ファクトの積み上げが何よりも大事な歴史の本で、リファレンス(引用元の文献)がほとんど記載されていない時点で、個人的にはこの本に書かれている内容はかなり眉唾ものとして当書は読んでいます。

たとえ確かな事実の積み重ねとしても、アカデミアの人がそんな姿勢で本を書いてよいのか、という意味でも点数が下がります。

 

ただ、一貫して記載されているのは、先の第二次大戦は「回避するチャンスがなんどもあった」ということで、我々が今後戦争を起こさないために、過去の忌まわしい歴史の分岐点の中でどのような選択肢が存在し、結果としてどのような選択をしてしまったのか、思索を巡らせるためにはとても良い書籍だと思います。

この本のストーリーをベースに過去を批判する、というよりも、今の時代に立脚して、歴史には必ず選択肢があり、どのような選択をすることで未来がどうなってしまうのか、我々自身がよく考え、そして責任を持つことが、姿勢としてとても大事だと思います。

もし、上記のような発想にたどり着くことが知的人間として正しい姿である、と著者が考え、この本を記述しているとしたら、「教養として」というタイトルは真に正しいタイトルであるな、と思います。