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これでいいのか川崎市

コンビニなどで、誰が買うのかよくわからない安価なムック本を見かけることがよくありますが、そのなかで「地域あるある」的な情報をまとめた本はひとつのジャンルになっている気がします。

そのなかで、絶対普段なら読むこともないですが、暇にあかせて買ってみました。

地域批評シリーズ5 これでいいのか神奈川県川崎市

地域批評シリーズ5 これでいいのか神奈川県川崎市

 

川崎市出身者の悲哀というものは沢山ありますが、県外の人と話をするときに「川崎出身です」という話をすると、95%くらいのの人には「川崎駅」やその周辺の港湾地域のイメージを前提に語られてしまいます。

しかし川崎は多摩川に寄り添うように南北(もしくは東西)に細長く広がる地勢を持ち、南北(東西)の交通網が貧弱なこともあって川崎北部(西部)と、川崎駅が存在する川崎南部(東部)の交流がびっくりするほど存在しません。

北部側にある宮前区に生まれた僕は、川崎駅に出るよりも、港北ニュータウンや渋谷に出る事の方が圧倒的に多く、今でも川崎駅の周りに何があるのかよく知りません。

 

川崎市は7区ありますがそれぞれが特異な存在感を持っており、そんなモザイク模様で統一性の無い、ある意味隣接する地域や環境によってカメレオンのように姿を変える、そんな、川崎市民、出身者であれば共感できる、他県には理解できない川崎市の姿について、まとめられている本です。

 

個人的には、川崎市民プラザが取り上げられているのがなかなか郷愁を呼び戻すには十分なネタでした。

www.kawasaki-shiminplaza.jp

ゴミ焼却場に併設された、焼却熱を再利用して温水プールなどを整備した施設で、地元の憩いの場所であると同時に他県人には絶対にどうでも良い施設で、こういう地元以外の人に関心がなさそうな施設を取り上げるあたり、当書の編集の人たちは「よくわかっている」と感じさせます。

また、僕も子供のころによく通った鷺沼プール(今はフットサル場になった)の「六角プール」も、地元民にしか通じない情報としてなかなか味わい深いです。

 

宮前平を中心としたエリアが「高級住宅街」と表現されているのは、だいぶこそばゆい感じをさせます。

しかし、昔は当たり前の光景として眺めていました風景が東京に移り住んでみてその見え方が変わることもあります。計画的に開発された庭付き+駐車場付きの邸宅があたりまえの宮前平周辺の区画は、東京23区にそこかしこに点在する戦後ドサクサとしか思えないようなバラックの建物や信じられないくらい狭窄な道や区割りなどがある現場にくらべると、とてもハイソで高級感がある、のも確かなように思えます。

また、教育熱が高いのも、地域の特性として確かでしょうね。

 

川崎市もなんだかんだいって140万人を越す大都市で、市全体を一冊のムック本で表現するのは限界があり広く浅く感は拭えないですが、暇な時に、もしくは地元の人と一緒に拾い読みしたりするには、こういう本はなかなか良い気がしています。

なるほど、コンビニとかに置くには、たしかに適切な本かもしれないですね。