アイ

スピッツ30周年を受けて

節目の年ということでPRにも力を入れているのか、テレビラジオでの露出もかなり見かけますし、意外なところでスマートニュースとコラボをしたりしていますね。

スピッツ結成30周年企画 1位はあの曲! SmartNewsユーザが 選んだスピッツの名曲を動画でお届け! | スマートニュース株式会社

 

個人的な感想として、30周年を記念して発売された今までの全シングルを集めたCD BOXの宣伝をベースにしているのでしようが無いところもあるのですが、世間的なスピッツのイメージそのままの「キレイなラブソングを歌うバンド」というイメージに寄り添ったPRが多いような気がします。

 

しかしそうなってくると、ライブの定番曲であり、そしてシングルカットされていない「8823」「夜を駆ける」「けもの道」等々の曲はPRの対象から外れてしまい、ライブに通うようなファンにとってのスピッツのイメージである、ある意味スピッツらしさを体現した狂気を感じさせる「激しさ」というものがスポイルされてしまう結果になっています。

もっとも、こういう音楽性だけを全面に出したとした場合、スピッツが今ほどの知名度とヒットを生み出したかというと怪しいですが。

www.youtube.com

 

www.youtube.com

www.youtube.com

 

まあ、スピッツにとってこういう類の話しはロビンソンがヒットしてから数十年ずっと同じ状況であり、弱々しいラブソングを歌うバンドというイメージを隠れ蓑に、そのイメージでCDという形でテラ銭を稼ぎつつ、彼ら本来のパンクでロックでマイナーな音楽スタイルはデビューから一貫していてある意味ファンの共通の秘密として暖められ楽まれているという様相で、面白いなと思います。

 

 

ミュージシャンの本質というか、より多面的にその表現を観察するためには、やはりライブに行くと色々な面が見えて楽しいですね。

 

もうだいぶ人口に膾炙してしまった気がしますが、眉間にしわ寄せて「海は死にますか」とか「彼は許されたと思っていいのですか」とか歌っている暗い暗いイメージのさだまさしが、ライブでは抱腹絶倒のトークで会場を笑いの坩堝にしていたり、

ひまわりの約束」のイメージでさわやか好青年パパのイメージそのままの秦基博が、ライブでは「リリィ」などの自己中心的なネチネチした感じの歌を好んで歌っていたり、

女の失恋歌ばかり歌っていて弱々しく女々しい感じの奥華子が、ライブに行くとどちらかというと女の情念の深さと強さを前面に出し聴き手に恐怖を与えつつ、コンサートの最後に会場すべての人に目線をあわせて手を振るファンを大事にする姿が見えたり、

「さくら」「夏の終わり」の唱歌のような歌のイメージしか一般人は持ってない森山直太朗が、ライブではう○こや駐車場の歌ばかり歌い、常人には及びつかない独自な世界観で聴衆を困らせていたり

 

音、音楽というものは、CDなど記録する技術が発達したとは言え、基本は生まれた瞬間に波として伝わり、そして消えていく儚い存在です。

なので、その音を共有するには、やはり、生まれた瞬間の場所に居たほうがより趣を味わえると思います。つまりは、皆でライブに行きましょう。

そして、音を紡ぐという作業以外にも、様々な所作により、その表現者が表現しようとしているものが、ライブの場では渾然一体となって伝わってくると思います。

 とはいえこのCD BOXは、ファンとしては買ってしまうわけです。