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大阪は日本の縮図

僕は関東首都圏のエリア出身の典型的な都会っ子なので勢い東京での生活が長く、価値観も「東京」という都市圏のまとう空気感から作り出されました。

そういう観点の人間が、日本第二の都市と謳われる大阪に、たまに訪れるとその違いを感じるところがいくつかあります。

 

街が古臭い

梅田駅周辺あたりはだいぶきれいになりましたが、大半のエリアで町並みが昭和の名残を残した、東京人から見ると古臭い町並みが広がっているように見えてしまいます。

昔の建物が残り続けている、という話や、電子マネーやクレジットカード未対応の店・サービスが多い、電源やWifiもほとんど使え無い、等々の環境面の変わらなさが印象としては強いです。

特に天王寺新今宮周辺は、いろいろな事情があるにせよ、昔の香港映画の風景にタイムスリップしたかのような趣です。

今、アジア的なノスタルジーを感じようとしたら、香港も中国含めアジア諸国は日本にくらべると猛烈な勢いで発展して変化しているので、停滞している昔ながらの風情を残した都市を訪れるという意味だと第一に訪れるべきは大阪ということになるのかなと思います。

 

高い建物が少ない

街並みの古臭さにも関わりがありますが、大阪の特に梅田などのキタ周辺は、伊丹空港が近くにあることから航空法の制約があって高層ビルの建築に制限がありました。そのせいで、東京含め国内外の他の大都市と見比べると大阪周辺の空の広さに驚きます。

この辺は福岡も同じような課題を抱えており、空港の近さ、そしてともに扇状地で有るがゆえの地盤の脆弱さが要因とはなっています。

一応、建築技術の向上もあってか、航空法の緩和は大阪も福岡も進んでおり、徐々に今までよりは高い建物が増えてくるようです。

いずれにせよ伊丹空港の存在による制約は、昔ながらの風情を残す要因にもなっており、今後の大阪の目指す場所によっては功罪ともにあるかなと思います。

 

お笑いの街と言うけれど

「大阪はお笑いの街」というのは、よしもとなどが数十年かけて築いてきたブランドのようなものです。しかし実際にお笑いの劇場を探しても、意外と大阪には多くは存在しません。

なんばの周辺にグランド花月やよしもとの劇場はありますが、例えば寄席とかを見に行こうとすると天満天神繁昌亭のような最近できた施設くらいしか選択肢が出てきません。

意外と東京の方が、娯楽としてお笑いを楽しめる環境が多いんじゃない?と思ってしまいます。

しかし、まちなかの人が本当に個性的で面白い人が多く、距離感も東京のよそよそした感じとは異なるので、歩いていてもおもしろいのは確かですね。

たまたま西成のあたりを歩いていたら、すれ違った老人に肩を掴まれて「人生は長いようで短いんやで」と言われたのですが、あまりに意味不明で、それでも言っていることは本当にその通りだなと思って納得しました。

 

くいだおれの街とは言うけれど

僕は大阪に行くと基本的に食の楽しみがないので、ホテルで過ごしたりすることが多いです。

たこ焼き、お好み焼き、串焼き等々、ブランド化に成功した食べ物は沢山ありますが、美味しい料理を提供してくれる店が街中に少ないな、という印象です。大阪で食べるたこ焼きよりも銀だことかの方が安定して美味しい、串カツ田中の方が大阪の店より清潔でサービスも良い、といようなうこともあり、これらの大阪ブランドの食べ物は東京で食べても遜色は無い気もします。

これは僕が貧乏性ということもあってでしょう。北新地のあたりとかをぶらぶら歩いていると、高級そうでかつ歴史もありそうな料亭等々のお店が立ち並んでおり、本当の意味で大阪の食を味わうのであればこういうところに行かないといけないのだなとは思います。

しかし、同じお金を使った場合、東京の方がリーズナブルに美味しいものは食べれるというのは、個人的な経験則による主観ではありますがそのとおりだと思っています。

 

東京のことを意識しすぎている

大阪でテレビをつけると、必ずどこかのチャンネルで「東京」をテーマにした番組が流されています。やれ東京人は冷たいだの、大阪の人の方が面白いだの、東京をこき下ろし大阪を持ち上げる番組がとても多い印象をうけます。

その反面、東京への関心の高さか、東京で新しく作られたおしゃれスポットについても多く扱われているように思えます。

逆の立場からの視点では、言うほど東京の人は大阪のことを意識している人は、僕も含め多くない気がします。都市の規模としても、大阪は名古屋、仙台、札幌、福岡などと並ぶワンオブゼムで、実際に存在感としてはそういう感じに落ち着いている気がします。文化や歴史の豊かさについては、京都と同じような位置づけとして尊敬して見ています。

 

大阪は日本の縮図では、の意図

色々書いてきましたが、僕は東京人における大阪は、世界における日本の立ち位置に近しい存在だな、と最近感じています。

文化的に閉鎖的で、周囲の諸国に伝わるステレオタイプのイメージは豊富には存在するが、それらはノスタルジーとほぼ同義に語られるものである。

街並みは古臭く、歴史があるとも言えるが、現代的な生活を志向する多くの都市型の住人としては不自由を感じることが多い。

やたらと他者、他人のことを気にしているが、それでも自分たちが一番だという根拠の無い自負があり、そのように宣伝しストーリーを紡ぐ多くの人がおり、大衆もそういう価値観を信じている。

 

東京の人が大阪に対して見る視点、抱く感情というものが、今のとくに勃興するアジア先進諸国の人たちの日本を見る視点と、近しいものがあるのかな。

と思い雑文ですがしたためてみました。