1978年のさだまさし
あまりライブレポートの類は書かないのですが、さだまさしさんが「拡散して!!」とステージで仰っていたので書いてみます。
2018/03/31 に大阪のフェスティバルホール5周年イベントとして開催された、さださんのコンサートに参加しました。
タイトルは「1978年のさだまさし」。
さださんが建て替え前の旧フェスティバルホールでコンサートを行ったのが40年前(1978年)の3月30・31日。今年は立て直し後の新フェスティバルホールの5周年にして、新旧あわせてさださんのフェスティバルホール40周年、ということで記念のイベントとして開催されたようです。
この辺はツアーバンド(さだ工務店)のチェリストで、ムジカ・ピッコリーノのゴーシュとしても人気の徳澤青弦さんのインスタにも紹介されています。
このコンサートは、1978年3月30・31日に行われたコンサートのセットリストを出来る限り忠実に再現し、「曲順は少し変えているけれど」同じ曲のみを用いて実施されました。曲順を変えた理由は、コンサート終盤の演出により自ずと分かる訳です。
さださんの1978年における状況は以下のような感じ。
- ソロデビュー3年目。
- デビュー後シングル5作、アルバム3作をリリース済み。アルバムは64万枚、92万枚、89万枚と準ミリオンを連発していて既に売れっ子。
- ソロデビュー後のヒット曲はこの時点では「雨やどり」「檸檬」。今広く知られた曲を含めると「秋桜」「案山子」など。
- 「関白宣言」「親父の一番長い日」「防人の歌」「北の国から」などの大ヒット曲が生まれる前。
- そして映画で大借金をする前〜💸。
僕も正直この時代のことをリアルタイムに知るすべが無いので wikipedia などで追う以外に情報がなく実感はないですが、この頃にファンになった先輩さだファンも相当に多いでしょう。そういう方々には多感な青春時代のことが懐かしく思い出される演目なのではないかと思います。
箇条書きでコンサートの感想を書いていきます。
- バンド編成はいつもの「さだ工務店のメンバー」でスタート。
- 前半後半の二部構成。間の休憩時間は、皆歳を取ってトイレが近いだろうからと長めの15分を確保(笑)
- 楽曲は意外とさだ工務店との組み合わせで演奏済みのものが多く、私が初見だなと思ったのは「最后の頁」「夕凪」「転宅」「檸檬」くらいでした。ピアノの倉田さんとは付き合いも長いので合わせたことのない曲はないでしょう。ソロデビュー後3年以内に作られた作品群の人気の高さとクオリティの高さには改めて驚かされます。
- トークでは1978年当時のエピソードを披露。日本のコンサートツアーで初めて大道具を導入したのはさだまさしである、とさださん本人もトークでよく述べていましたが、導入したのが1978年の3月30日のフェスティバルホールでのコンサート、まさに40年前のその時が歴史的な日であったんですよと説明。
- 秋桜の作曲を依頼された時のエピソードも披露。依頼されていた事を数年忘れていて、催促されて追い込まれたため寝ずに〆切日の午前4時頃に秋桜を書き上げ、先方の担当者に電話で連絡したが、「ありがとうございます。それでB面は?」と電話口で告げられ血の気が引いたとのこと。その際に急ぎ作った曲がライブでも披露された「最后の頁」。ちなみにかなり久しぶりに歌ったせいか曲の出だしで少しミスっていました。
- 当時のトークの大ネタを思い出したら、さだ企画のみんなでスキーに行ったエピソードがあった、と、そのトークを披露。曲を跨いで30〜40分くらいかかる壮大な作品でした。
- 大ネタ中に、話が脱線して、ファミマの入店音「大盛況」にあわせて「産まれたてのさだまさし」を皆で大合唱。「次の45周年コンサートツアーのタイトルは「産まれたてのさだまさし」にするぞ」と、どこまで本気なのかよくわからない宣言も飛び出しました。
そして、何よりもこのコンサートのクライマックスは、アンコール前に宅間久義さんがサプライズ出演したことでしょう。
僕も正直、1978年の楽曲をやるのであれば「胡桃の日」をやらざるを得ないだろう。でもさだ工務店のクラシカルな編成で出来るのか?そもそも胡桃の日は宅間さんのマリンバが無いとわさびの入ってないお寿司みたいなものだろう……と悶々としていたなか、何の前フリもなく突然マリンバがステージに運ばれてきたときの興奮とまわりの大歓声はなかなか忘れがたいです。
当然、宅間さんのマリンバが加わって演奏するのは「胡桃の日」。さださんがギターの前奏をおもむろに弾き出し、皆の期待が最高潮に高まる中さっそうと宅間さんが登場し、演奏が始まります。
場内は総立ち…まではいかないですが、興奮した先輩さだファンたちが立ち上がって、僕も聞いたことがないような大音量の手拍子の中楽曲が展開されていきます。
近くのご高齢の女性が感極まってか泣き出したりと、本当に感動的で興奮が最高潮な雰囲気。
胡桃の日の演奏後、さださんが手招きして宅間さんを呼び、あつい抱擁、そしてお互いの健闘を称えるように親指をグッ👍と突き上げる姿は本当に格好良かったです。
アンコール前最後の曲は「飛梅」。マリンバ入りの飛梅はライブでは私は初めて聴いたのですが、二番後半のドラマチックな盛り上がりを完璧に表現するにはやはりマリンバが必須、この曲は宅間さんあっての曲だなと思わせます。
会場が興奮の坩堝に包まれる中、緞帳がおり二部終了。皆スタンディングオベーションで、経験したことが無いくらいハイテンポの手拍子でアンコールを煽ります。
緞帳が開け、トークもほどほどに、アンコール曲は「つゆのあとさき」。
高音が印象的な、きらびやかなメロディで人気のある曲です。アンコールで歌うにはしんどそうな曲ですが、65歳の今になってもさださんの高音の伸びは保たれ、ここ数年の中でも最近は更によく声がでるようになったのでは…と思わせる完璧な歌声でした。
これで1978年に歌った楽曲はすべて歌い終え、普通ならここで終演ですが、興奮した観客はそれを許しません。
一度ステージを降りたさださんもすぐ戻ってきて、「もうこのへんでよろしいでしょう(笑)」と冗談を言いながらも、アンコール二曲目は「主人公」。ファン人気ナンバーワンの曲をここで持ってくるか!と、さすがのサービス精神の旺盛さに感動。
最近のさだ工務店の演奏では弦の美しさを活かすアレンジで演奏されていましたが、今回は昔ながらのアレンジ。
主人公終演後、バンドメンバー、宅間さん含めステージ最前列に整列して、カーテンコールの挨拶。
このときに「今日は特別だよ〜、スマフォで撮影して良いよ〜」「撮ったら SNS とかで拡散するんだよ〜」との発言。他のミュージシャンでは珍しくないですが、さださんもこんな事するんだ、と驚きました。
僕のこの記事も、さださんのその発言を受けて書いてます。
先輩さだファンの方々も我先に携帯取り出して写真を撮りだし、撮影に夢中。「カメラを構えていると、拍手が無いことに気づきました。寂しかったよ。(笑)」との発言にまた爆笑。
皆がステージを降り、緞帳が降ります。
さすがにもう終演でしょう、こちらももうお腹いっぱいですよ、と思う中、興奮した先輩さだファンは一切帰る気がなく、また大音量の手拍子とともに「アンコール!アンコール!」の大合唱。
かつて、数年前に、こんなインタビューを語っていたさださん。
もし出ていく前に拍手が鳴りやんだら僕はそのまま帰る。逆にアンコールをやって、まだ拍手が鳴りやまなければ、また出ていく。で、もういいよね、って思いながら袖に引っ込んで、まだ拍手が鳴りやまなければ、また出ていく。
こんな事言っちゃったんだから、この盛り上がりの中、出てこないわけにはいかないでしょう。観念したかのようにステージに戻ってきたさださんが、宅間さんを引き連れて演奏したアンコール三曲目は「雨やどり」
この写真はその時のもの、演奏開始直前にあわてて撮影したものです。
さださんも皆を煽り、まさかの場内全員での「雨やどり」の大合唱。雨やどりは合唱向きの曲ではないな、と苦笑しつつ、大興奮のコンサートは素晴らしい余韻を残して幕を閉じました。
最近、数年前から僕もさださんのコンサートツアーに少し参加するようになったのですが、最近のツアーは非常に楽曲のクオリティは高いものの、何か予定調和的なものを少し感じていました。
しかし今回の「1978年のさだまさし」は、ファンを裏切る嬉しいサプライズの数々、こういうものを体験してしまうと、ますますさだまさしのファンは辞められないな、と感じてしまいます。