警蹕の声
2019年の年明けのさだまさしの番組で、冒頭に「天然色の化石」という歌が歌われました。
それに続いて、二曲連続で「おんまつり」という春日大社を舞台にした歌を歌っていました。
正直、個人的には結構びっくりしました。こんな知名度ゼロの、ニューアルバムの中にだけある曲をNHKの全国放送で歌うんだ、って。
この歌の中で「けいひつのこえ」という歌詞が出てきます。
僕は春日大社のおんまつりに参加したこともないですし、そのこともあり知らない単語だったので今更ながら調べました。
天皇や貴人の通行などのときに、声を立てて人々をかしこまらせ、先払いをすること。また、その声。「おお」「しし」「おし」「おしおし」などと言った。みさきばらい。みさきおい。けいひち。
ああ、なるほど、と膝を打ってしまいました。
この曲は、サビの終わりに「おお〜」というスキャット(というには重々しいですが、他に表現が見つからない)を繰り返しますが、これはつまり「おんまつり行事中の警蹕の声」を表しているのですね。
コンサートで何度か曲を聴きましたが、なんとはなしにやり過ごしてましたし、「なんでこんなに「おお〜」って繰り返すんだろう?」とすら思ってました。
さだまさしの歌は、古語もふんだんに使いますし、ちゃんと聞き手が調べないとその歌の真髄というか奥行きがわからない歌が多いですね。よく「さだまさしの歌は難しい」という意見を聴きますが、それなりに好きで頻繁に聴いてる僕でも本当にそう感じます。ファンの方々も、よくついていってるなと思ったりします(笑)
ついでに、以前調べてた「おんまつり」中の専門用語についても記事に貼っておきます。
瓜灯籠
↑のようなもの。
御旅所
御旅所(おたびしょ)とは、神社の祭礼(神幸祭)において神(一般には神体を乗せた神輿)が巡行の途中で休憩または宿泊する場所、或いは神幸の目的地をさす。巡行の道中に複数箇所設けられることもある。御旅所に神輿が着くと御旅所祭が執り行われる。
標高297m、三笠山とも表記する。山容が笠を伏せた形をしていることから名付けられた。山頂の浮雲峰は、768年(神護景雲2年)、春日大社の祭神である武甕槌命が、藤原氏により勧請され、白鹿に乗り降り立った場所とされ、本宮神社が祀られている。
御蓋山は入山不可の神域らしいです。
若宮のお松明
春日若宮おん祭(かすがわかみやおんまつり)は、奈良県奈良市の春日大社の摂社若宮神社の祭祀として、奈良公園周辺で毎年12月17日を中心に数日に渡って行われる祭礼である。(中略)
若宮をお迎えする「遷幸の儀」から若宮をお還しする「還幸の儀」までの祭祀は24時間で執り行われる。12月17日午前零時に始まり、12月18日の午前零時になる前にお帰りになる。この間「遷幸の儀」「還幸の儀」ともに一切の照明および写真・動画の撮影は禁止されている。
(中略)
若宮の神霊は榊を持った神職が十重二十重に守りお囲みしてお遷し申し上げる。この遷幸の間は奉仕者が絶え間なく「ヲーヲーヲー」と先払いの警蹕の声を上げながら進む。また奉仕者に囲まれた若宮に先立ち、松明やお香を持った人が進み若宮のお渡りになる道を清める。
これは「おんまつり」がどのような神事なのかを理解しないと分からないですね。
若宮の神霊をお迎えしお返しする際に、若宮がお渡りになる路を清める意味でお松明をもった方々が歩くようです。