勘違い課長
広い意味で、東洋経済の宣伝記事です。
とりあえず当記事で紹介されていたこの人の本は買ってみました。本の方は会社全体にについて語られていて、課長についてだけ書いている本ではなかったです。
生きている会社、死んでいる会社―ー「創造的新陳代謝」を生み出す10の基本原則
- 作者: 遠藤功
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2018/02/23
- メディア: 単行本
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ここでは、Web記事に書かれている内容だけ抜粋します。
「なんで俺が最近まで居た会社のこと知ってるの??」と思うくらい、組織的に「死んでいる」会社のことを紐解いているな、と感じたので。
【1】「机にしがみついて」ばかりいる
創造や変革を生み出すためには、まず「現場に赴き、観察する」ことが必要不可欠である。
(中略)
しかし、「死んでいる会社」の課長は現場に行こうとしない。「管理職になったのだから」「会議が多いから」という都合のよい理由をつくり、「机にしがみついて」いる。
「リアリズムを感じ取ることができる」という、課長ならではの最大の強みを自ら放棄してしまっているのだ。
課長だけでなく経営の中枢にいる人でも、組織の「リアル」をいかに直感的に把握できるかはとても大事だと思います。優秀な上司ほど、その組織がどのような状況になっているか、誰でも意識出来るような仕組みづくりを心がけると思います。
それをせずに、本記事の表現でいうと「机にしがみついて」いる人というのは、概ね以下2つの特徴があると、僕は思います。
- 自分の能力に自信が無い。
- 上司の顔色ばかり伺っている。
現場では能力が通用しないし、上にも上がれる力もない、そんな人が課長になると、現場は不幸しか生まれません。
【2】「会社の常識」から決して外れない
「死んでいる会社」の課長ほど、リスクをとらず「会社の常識」の枠を超えるようなことはしない。知らぬ間に「会社の常識」に毒され、これまでの基準を当てはめて考えることしかできなくなっている。
しかし、日本企業は大きな地殻変動の真っただ中にいる。リスクをとらないことが最大のリスクなのである。
僕が遭遇した現場だと、イケてない会社ほど本当にこういう人が多い印象があります。
自分が決めたわけではない、誰かが決めた慣習やルールを「守る」ことが仕事だと思っている人。守り続ける事が偉いことだと勘違いしている人。
でも、多分その慣習やルールも、最初に始めた人は試行錯誤の過程の中で苦し紛れで始めた可能性もありますし、方向性を変えずともつねにブラッシュアップしてより無駄がなく効果的な方法にマイナーチェンジしていくことが求められます。
そして、どのような慣習もいずれは形骸化するため、それをDisruptする人、というのもとても価値があります。
部下にはおいそれとできず、課長にこそできることは「既存のルールをいったん「なかったコトにする」」もしくは「なかったことにできる代替案を積極的に登用する」ということなのかなと思います。
この、「なかったコトにする」ということができない上司の下につくと、いつまでもメンツのためだけに無駄なことをやらされがちです。
【3】「見栄えのいいプレゼン」ばかり気にする
いくら独創的な発想が生まれても、チームや組織が理解し納得して動かなければ、「絵に描いた餅」で終わってしまう。実践しなければ、成功にはつながらない。そのためには、相手を説得するための「伝える力」が必要である。
しかし、「死んでいる会社」の課長ほど体裁ばかりにこだわり、「見栄えのいいプレゼン」をしようとする。いくら体裁や見栄えを気にしても、説得力は高まらない。
(中略)
「事実」に裏付けられた主観、そして情熱ほど説得力の高いものはない。
上司に対して色良い報告ができればそれで仕事は終わり、という考えの人が結構多い気がします。
実態はどうであれ「このようなビジョンで行動を「したいと思います」」とか、頭で思いついただけの絵空事を言って終わり。それがうまくいくかどうかをハンドルするのが現場でリーダーシップを取る人の責務なのに、口に出せばそれで仕事が終わりと思っている人が非常に多い気がしています。
これは、そういう「口だけ」「声出しだけ」を評価して、実態を理解しようとしない、課長以上の人たちのリーダーシップの問題であることが多いのかな、とは思っています。
【4】「目立つ行動」は起こさない
「はみ出る」行動は、社内で目立つ。創造や変革を成し遂げようとすれば、目立つのはやむをえない。しかし、それによって社内の壁を超えた理解者や共感者は増えていく。
一方、「死んでいる会社」の課長は「目立つ行動」は起こさない。対立を避け、衝突することを怖れている。
理解者、協力者をつくることよりも、反対者を気にし、誰かに反対されるとすぐあきらめてしまう。それでは、創造や変革を成し遂げられるはずがない。
僕の「名目的な」上司はまさにこんな人でした。
一番びっくりしたのは、僕よりも社歴が数倍ながく、管理職的な立ち位置のハズなのに、組織の中で知り合いが僕よりも少なく、社内の情報についても疎かったことです。
そうなった最大の理由は、いっさいの「情報発信」を社内でしなかったこと。
何か変えたいと思った時に、自分がどういう人間で、どうしていきたいかを表明するのは、非常に合理的で効率的な手段だと思います。
一方、その内容について粗探しをされたり、能力を見定められたりということも起こりえます。
でも、そこを怖がっていては皆と仲良くなることもできないし、組織横断で皆が仲良くならないと変えるものも変えられないと思います。
そういう行動をせずに、目立たないようにする理由は、基本的には自分に自信が無い、会社でやりたいことが無い、ということに尽きると思います。
【5】「妥協」ばかりして目標が定まらない
チームが結束して進んでいくには、課長が「ぶれない軸」を持たなければならない。新たな未来を創造しようとするのであれば、確固たる信念がなければならない。
ここは捉え方が難しく、僕は完全に同意するわけではないです。
とはいえ、物事が決まらない時に、立ち位置として監理する側の人が最後はものごとを決める決断をすべきだと思います。決断するためには、様々な事を勉強して力をつけないとできません。
力の無い人が上に立つと、自信が無いがゆえに何事も決まらない、というのはよくある風景な気がします。
【6】安易な「低い目標」で満足する
「やるだけやったのだからしようがない」「理解がない上司だからあきらめよう」と安易に掲げた「低い目標」で満足してしまう。戦いもせず、楽な選択ばかりをする課長たちばかりの会社に、未来があるはずもない。
これも、結局能力が無い人が上に立ったがゆえの不幸でしかないかなと思います。
結果的に、現場に近い場所でリーダーシップロールを努めるためにはなにが必要なのか、この記事では「ミッション・マネージャー」と書いてあり、そこは非常に同意するところがあります。
ただ日々の業務をこなすことだけでなく、数年後我々がどうなるべきか、組織が、世の中がどうなるべきか、そんなところまで落とし込んで行動に移す人のほうが強いですし、遠くへたどり着けるように思います。
そういう、未来へのビジョン、ミッションが不足している組織では、たとえ優秀な人が入社しても、すぐに立ち去って行くことが多いように、思えます。