固定観念で物事を語る
【2013年】今年の年間音楽CD売上げランキングがひどすぎるww【シングルヒットチャート】 : 職業ちゃんねる
若者を中心に、CDを購入して音楽を聴くというスタイルではなく、iTunesなどのストアから電子音楽を1曲単位で購入してダウンロードするのが当たり前になってきています。また、もう少し上の世代でも、TSUTAYAなどでレンタルして聴く人も一定層います。
CDの売上ランキングではなく、電子音楽の売上であったり、レンタル数であったり、そういうランキングを参考にすると2013年の音楽トレンドの様相はまた異なります。
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もちろん、文頭のまとめサイトで編集をした人も、そんな事は十分過ぎるくらい承知していて、それでもなお論理的に現状を分析するでなくこういうまとめ方(CD売上が落ちてる→音楽業界は落ち目的な印象論をもってまとめる)をするのは、おそらく
- 音楽業界に対して、たとえばJASRACや一部の芸能事務所等の古くて強引なやり方について好ましく思っていない人が一定数いる
- CD売上、という観点で言うと、特定の熱烈なファン層の影響が顕著に出ている。かつそういう人たちをあまり好ましく思ってない人も一定数いる
- なので、うまく編集して「音楽業界が落ち目」という風な味付けにすると、叩きやすいし、そういう記事を好んで受け入れる層も一定数いる
- なので、こういう記事を書くとPVも上がる(結果として広告収入も上がる)
という文脈なんだと思います。あらかじめ誘導したいストーリーが存在していて、それに関連しそうな出来事があったら、強引にでも筋書きどおりに誘導するような文章としてまとめる。
僕はまとめサイト系はなるべく読まないようにしていますが、その理由は編集者の意図によりこういう安直で固定観念に基いて文章を作り出しているところが多いからです。
同種の話で最近最も顕著なのは、日韓関係や、日中関係の問題でしょう。韓国や中国の間違っている点や劣る点をクローズアップして、「民度が」的な味付けでまとめた記事が、インターネットやSNSだけでなく、紙媒体でも増えてきました。
理由は単純で、そういう記事はPVも集めるし、売れる、ということなんでしょう。そして、取りも直さず、多くの一般市民が、そういう安直で本質的とはいえない言説を求めている、という事なんでしょう。
「中韓叩き記事」がバカ受け、やりたくないけどやらざるを得ない週刊誌の悩み - Togetterまとめ
このtogetterの中で、とても秀逸な言葉だな、って思ったのは「心のエロ本」という表現。
雑誌だけでなく、中規模の書店チェーンの新書コーナーを見ると「日本はすごい」「韓国は嘘つき」「中国は怖い」という、似たタイトルの新書が平積みされている。売れるから並べるのは商売だけど、虚栄心を満たし自慰行為を促す「心のエロ本」が並ぶ様は、日本人の一人としてちょっと恥ずかしい。
— 山本剛志(らをた)1/25ラーメン進年会 (@rawota) 2013, 12月 18
なるほど、本質的な物事から目をそらし、扇情的で短絡的な「韓国や中国は悪者」「日本より格下」という固定観念にすがるのは、非モテの男が女性を口説くことからは逃げて、エロ本を読んで欲求を満足させる行為によく似ています。
別に僕は親中派でも親韓派でも無いです。趣味と実利にかなっているので中国語を勉強して、中国人の友達もいますが、その分中国の良い部分も悪い部分も、脅威な部分も手を取り合えそうな部分も、一般の日本人よりは理解しているつもりです。その上で中国を好きになる、警戒する、もしくはニュートラルに振る舞う、というのは人の立場や人間関係にもよるでしょう。
しかし、中国や韓国、ひいては国際情勢であったりそういう事に無頓着で知識もない人ほど、上述のような扇情的な言論に簡単に流されてしまい、結果として多数派となり言論を構築してしまいます。
個人的には、たとえ嫌中派になるとしても巷間で流れている上記のような情報は安易すぎて、正直認識が甘すぎると思います。本当に脅威に思うならもっと必死に情報のキャッチアップと分析をしたほうが良い。
色々考える必要があります。中国や韓国の実像はどうなのか、国や政府と民間、もしくは地域、学歴、貧富の差などでどういうモザイク模様となっているのか、嫌中韓で煽っている人たちはどんな人達なのか、彼らの目的は何なのか、どうなれば成功でどんな利益を手にしたいと思っているのか。
ある固定観念に基づき、議論を誘導しようとする人はいます。そういう人に流されずに、できるだけ「最大多数の最大幸福」的に正しい方向に物事を進めるためには、皆が賢くなる必要がありますし、できるだけ正解に近いかたちで分析をし判断をする能力が必要です。そのためには日々の教育や訓練が大事なんだろうな、と思います。