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つゆのあとさき

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さだまさしの初期の作品で、ファンにも支持者が多い「つゆのあとさき」という歌があります。

この歌自身は、若い男女の恋の終わりをみずみずしく描いた、別の表現をすると青臭い感じの作品ですが、タイトルの「つゆのあとさき」というのは永井荷風の小説から拝借・引用したもので、その元となった作品を読んだことが無かったので読んでみました。

永井荷風 つゆのあとさき

 

 小説の方は、銀座の女給(今だと、クラブのママさんという表現が近しいのだろうか...)である君江と、それを取り巻く男性陣との大人の恋愛?模様を描いた小説です。読後の僕の感想をひとことで表すと「女性は怖い......」というもので、君江に良いように虜にされ、手玉にされる男性陣の姿に僕はただ慄き、恐怖するのみです...。

作品中に「カッフェー」という表現が出てくるのですが、こちらは我々が想像するような喫茶店のことではなく、戦前に有った「特殊喫茶」(端的に言うと性風俗を提供する喫茶)のことのようです。

カフェー (風俗営業) - Wikipedia

図らずも、この小説を通して「純喫茶」の由来を知ることになりました。

 

正直、男と女の姿、本質を描いているのはどちらかと言ったら、圧倒的に永井荷風の「つゆのあとさき」です。

さだまさしの歌う「つゆのあとさき」は、綺麗過ぎて、観念的過ぎて、おそらく世界中探してもこんな人たちは歌の中にしかいないと思います。

もちろん、「男と女は、別れの際にあってもかように綺麗であれかし」という祈りにも近い願望は理解できなくもなく、そういう理由もあってこの歌は支持をされているのかな、という気もします。