女は引き寄せて、つっ放す
太宰治の人間失格を読んでいるのですが、なかなか刺激的というか男性の女性に対する心を上手く表現しているなという一節をただ貼り付けておきます。
女は引き寄せて、つっ放す
或いはまた、女は、人のいるところでは自分をさげすみ、邪慳にし、誰もいなくなると、ひしと抱きしめる女は死んだように深く眠る、女は眠るために生きているのではないかしら
その他、女に就いてのさまざまの観察を、すでに自分は、幼年時代から得ていたのですが、同じ人類のようでありながら、男とはまた、全く異った生きもののような感じで、そうしてまた、この不可解で油断のならぬ生きものは、奇妙に自分をかまうのでした。
「惚れられる」なんていう言葉も、また「好かれる」という言葉も、自分の場合にはちっとも、ふさわしくなく、「かまわれる」とでも言ったほうが、まだしも実状の説明に適しているかも知れません。